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2017年10月24日火曜日

[CDレビュー]  デーモン閣下「EXISTENCE」


デーモン閣下「EXISTENCE(初回生産限定盤)(DVD付)」
(2017/3/15)

1. 深山幻想記 序曲
2. ゴールはみえた  [公式PV]
3. Forest Of Rocks  [公式PV]
4. Just Being -ここにいる そこにいる-
5. Shibuya Scrambled Crossing
6. 地球へ道づれ!
7. てふのやうにまひ
8. 方舟の名はNoir
9. 深山幻想記 -能Rock-
10. Post Truth -青空が殺気立つ-
11. Stolen Face
12. Heavy Metal Strikes Back -血まみれの救世主たち-
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




デーモン閣下の通算7枚目のオリジナルアルバム。
前作「MYTHOLOGY」からは5年ぶりのリリースとなるソロアルバムということで
当然のごとく作詞作曲ともに自作中心ながらも、海外のHR/HM系のバンドメンバーから
楽曲提供を受けたり、小説家や漫画家の方々を作詞に起用したりといった
ソロ作品ならではのコラボも実現、前作同様に多彩なアルバムとなりました。

まず1曲目には約1分半のインスト曲「深山幻想記 序曲」で始まり、
続く2曲目「ゴールはみえた」は序盤のアコースティック系サウンドから
徐々にロック色が強くなっていく曲で、夢に向かって走り行く姿を
カッコよく歌ってくれている。それだけにAメロの容赦ない血の仕打ちなどといった歌詞が
むしろ浮いてないかと思ったが、悪魔だからそういうフレーズも入れないとってことですね。

3曲目「Forest Of Rocks」は映画版仮面ライダー主題歌としてリリースされた
唯一のシングル曲。伸びやかなサビメロがたまらなくキャッチーで
閣下のハイトーンボイスも圧倒的、聴いていて最高に気持ちいいロックナンバー。
正義の味方の仮面ライダーの主題歌を悪魔が歌うという禁断のコラボなのはさておき
よくぞこの曲をアルバムにも収録してくれましたよ。

4曲目「Just Being -ここにいる そこにいる-」はデジタルポップ要素が強い曲で
これまた意外なアレンジだが、こういう曲でも閣下の歌声さえあれば
他には無い魅力を感じられる曲になるんですよね。ソロ作品ならではの面白さ。

5曲目「Shibuya Scrambled Crossing」は東京の街で生きる人々の姿を歌った
ミドルテンポのロックナンバー。上京物語と題していいような歌詞も良くて、
こんな曲も歌えるということをもっと広く知られてもいいはずなのに。

6曲目「地球へ道づれ!」はシンフォニックロック系の曲でありながらも
親に感謝はしなくていいが取引先には感謝しろなどといった歌詞が
ツッコミどころ満載。この曲の作詞は閣下ではなくテラフォーマーズ作者の貴家悠さん。
収録時間が約7分半と長いし歌詞も含めてくどく感じたのが惜しいところ。

7曲目「てふのやうにまひ」は疾走メタルサウンドにのせてプロボクサーの
モハメド・アリの生き様を歌った曲で、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
というアリさんのキャッチコピーがそのままサビの歌詞となっている。
何度倒されても、打ちのめされてもまた立ち上がってやるんだ!というメッセージには
最強に力をもらえる。これぞメタルの醍醐味、ラストのシャウトも圧巻、
今作の中でも最も聖飢魔Ⅱの曲に近いといえる曲で文句無しに一番のお気に入り。
この曲のおかげでこれからはアリさんといえば引越社じゃなくボクサーの方を思い出しそう。

8曲目「方舟の名はNoir」は4曲目以上に打ち込み中心のデジタルサウンド曲。
歌詞の世界観や編曲などに深遠な雰囲気を感じられるのはさすがとしか言えない。

9曲目「深山幻想記 -能Rock-」はタイトル通りの能とロックの融合曲。
和風プログレといってもいいような曲だが収録時間約10分半というのは
カップ麺のお湯を入れて3分すら待てないような自分にとっては長過ぎるんですよね。
実際に舞台を観ながら聴いたら全然印象が変わってくるのだろうが・・・

10曲目「Post Truth -青空が殺気立つ-」はミドルテンポのハードロックナンバーながら
青空をテーマにした曲でここまでシリアスで鋭くてカッコいい曲が
今まであっただろうか。こちらも文句無しの名曲。

11曲目「Stolen Face」はブラスバンドや口笛なども取り入れた賑やかな曲。
作詞を担当した羽田圭介さんは芥川賞作家でありながらも個人的には
ローカル路線バスの旅でしか見たことがないので、どことなくのんびりした
イメージしか無かったが、この曲はさすが作家といえるようなダークテイストの入った
質の高い歌詞を描いてくれている。これも人知れずバスの中で考えたのだろうか?

12曲目の「Heavy Metal Strikes Back -血まみれの救世主たち-」は
仮面ライダーGIRLSに提供した楽曲のセルフカバー。これを今回新たにやってくれたのが
何よりも嬉しかった。サビメロが仮面ライダーGIRLSバージョンとは
微妙に違う部分があったのが最初はあれっ?と思ったが、聴き込めば聴き込むほどに
むしろ閣下バージョンこそが正統派メタルだと感じられた。どちらも傑作なのは変わりない。
また仮面ライダーGIRLSに楽曲提供して欲しい。仮面ライダーGIRLSの最新アルバムが
こちらに書いた通りロックやメタルの要素が弱まってしまっただけに
もう一度Strikes Backをと思ってしまう。なんなら次はデュエット作品を聴いてみたい。

世間的にはすっかりTVタレントとしてのイメージが強いかもしれないが、
本業はあくまで悪魔で超実力派歌手だということが、この作品を聴けば分かるはず。
聖飢魔Ⅱを彷彿させるメタルナンバーから、ソロ時代から歌い始めた歌劇風の楽曲まで
多種多彩な魅力を発揮、これまでの集大成的な名作アルバムを届けてくれたが、
唯一閣下らしさが足りないと感じた点を挙げるならば、相撲要素が足りない。
前アルバムでは「雷電為右衛門」という歌い出しの時点から相撲を取ることを推奨する曲を
とっても楽しそうに歌っていたのが良かったのに。なお11月8日には早くも次のアルバムの
リリースが決定。何やら心を癒すなどというキャッチコピーが載っている上に
カバー曲も多く入るようで、今作とは全く違ったコンセプトの作品になりそう。
収録予定曲には千秋楽というタイトルの曲もあるみたいだがこちらは相撲曲でしょうか?







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