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2013年6月10日月曜日

[CDレビュー]  GARNET CROW「first soundscope~水のない晴れた海へ~」


GARNET CROW「 first soundscope~水のない晴れた海へ~」
 (2001/1/31) 

1. 水のない晴れた海へ
2. 君の家に着くまでずっと走ってゆく
3. 夏の幻
4. 二人のロケット
5. 巡り来る春に
6. HAPPY DAYS?
7. Mysterious Eyes
8. Rhythm
9. Holding you,and swinging
10. flying
11. 千以上の言葉を並べても…
12. wonder land
13. 夏の幻(secret arrange ver.)
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)




2001年にリリースされた、GARNET CROWの1stアルバム。

このアルバムは彼らがリリースした全10作のオリジナルアルバムの中でも
他の作品とは違った空気を感じる、孤高の作品といえるでしょう。
ツインキーボードという珍しい形のバンド編成により作られたサウンドは、
一見地味にも聴こえるが、アコースティックな質感に今作ならではの温かみを感じる。
そしてボーカルの中村由利さんの、切なげながらも耳に強く残る歌声が
曲にインパクトを加えていて、なおかつサウンドの中に絶妙に溶け込んでいる。
今作はまるで木陰に差し込む光、もしくは雨戸が閉まった暗い部屋の中に差し込む
朝の光のよう。圧倒的に輝いているとは言えないかもしれないが、
それでも今作には確かなまぶしさを感じ、聴けば聴くほどに暖かさが伝わってくる、
そんな作品でした。

2、5曲目のようなバラード曲は、この時点で既に完成された魅力がある。
そしてアップテンポ曲については、中期~後期の曲よりもどこか影を帯びているのが印象的。
羽ばたきながら堕ちていく姿を歌った「flying」は光と影のコントラストが見事な
これぞ初期の名曲といえる曲で、今作の中でも一番のお気に入りナンバーです。
同じく初期の代表曲である「夏の幻」は、アルバムラストに収録されている
ニューアレンジバージョンの方がより開放感を感じる。これは原曲以上に好きになりました。

名曲揃いのシングル曲と比べると、アルバム曲は個人的にはもう一押し欲しかったか。
歌詞もラブソング一辺倒ではなくもう少しバリエーションがあればなお良かったが・・・
アルバム曲の中では1曲目「水のない晴れた海へ」が、キーボードアレンジの美しさが光る
幻想的かつ浮遊感に溢れた曲で、こんな曲は彼らがその後にリリースした曲全部を探しても
無いような曲だったので、より強く印象に残った楽曲でした。

約13年間に渡って数々の名曲を世に送り出したGARNET CROWの原点の作品として、
今作は必聴作品といえるでしょう。その後、歌詞もサウンドも徐々に幅を広げていき、
ここから更なる進化を遂げていった姿は見事でした。解散が本当に惜しまれます。




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