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2011年11月23日水曜日

[CDレビュー]  熊谷育美「その先の青へ」


熊谷育美「 その先の青へ」
(2011/10/19) 

1. 再生 
2. 軸足 
3. 月恋歌 
4. 雲の遥か 
5. 夏の華 
6. 帰りたいよ 
7. 海 
8. 虹 
9. 人待雲
10. 人は皆、不甲斐ないね 
11. 果てない空 
12. 僕らの声
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)





熊谷育美の1stアルバム。その美しくも芯のある歌声で、
聴く人たち全てを優しく包み込んでくれるかのような作品となっています。
全編通してバラード曲中心のアルバムとなっておりますが、
そこには同時に歌謡曲や和の要素といったものを感じられるのがこの作品の大きな特徴です。
繊細で切なげな和の雰囲気がたまらなく胸に迫りくる「夏の華」、
こぶしを利かせた歌唱含めて、曲全体から演歌や民謡のような雰囲気が感じられる「人待雲」、
曲中に入る口笛の音が懐かしい「海」などは特に印象的で、それらのどの曲も、
彼女の出身地である、宮城・気仙沼の美しい景色が浮かんでくるかのような曲となっています。


その中でもやはり最高傑作と言っていいのは、今作では4曲目に収録されている「雲の遥か」。
生まれ育ったふるさとや、家族のぬくもりを思い出させてくれるかのような曲で、
最近の曲にありがちな、母よ感謝してますなどのストレートな言葉は無くとも、
聴くだけで自然と、両親や故郷やふるさとの人たちへの感謝の気持ちが湧いてくる曲。
サビの「負けるな、と」という歌詞も印象的なこの曲は、あの東日本大震災後の直後に
地元宮城県のラジオにおいて何度も放送されたそうで、まさにこの地で多くの人たちを励ましてくれた曲でしょう。
それ以外のアルバム収録曲においても、1曲目の「再生」という曲や、ラストにて大団円を迎える「僕らの声」という曲には、震災からの復興への願いを感じることができ、
この地でこれからも歌と共に、そして多くの人たちと共に頑張っていくんだという思いを感じることができます。


ただ、「僕らの声」のような、ミディアムテンポの曲は他には8曲目ぐらいしかなく、
それ以外の収録曲はほぼバラード曲一辺倒といった感じでしたので、
アルバム全体でもう少し多彩なアプローチができればもっと良かったと思います。


しかしそれでも、1stアルバムでこれだけの魅力のある、そして歌の力を感じる作品を
作ってくれたのなら十分素晴らしい作品といえるでしょう。
特に、歌姫ファンには必聴作品と言ってもいいぐらいにおすすめです。
ピアノやギター弾き語り系の女性ソロ歌手が好きなら間違いなく気に入ると思うんですけどね。


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