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2010年10月31日日曜日

[CDレビュー]  高橋瞳「sympathy」


sympathy
(2006/3/1)

1. Get the future 
2. 青空のナミダ 
3. 孤独な群集 
4. コトノハ 
5. evergreen 
6. Beatin’
7. メロディ 
8. 約束 
9. もうひとつの夜明け 
10. SKULL 
11. 僕たちの行方 
12. 16
お気に入り度:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)




2006年にリリースされた、高橋瞳さんの1stアルバム。
当時16歳なだけあって若さが存分に溢れ出した作品です。
とにかく見た目からは想像もつかないぐらいパワフルで、小手先のことなんて考えずに
全力でぶつかってくるボーカルが聴いていて本当に気持ちいいです。しかも声質が良いときたらなおさら。
作詞については未熟な面もありますが、それもまた16歳ということでいいでしょう。
特に「青空のナミダ」や「僕たちの行方」といった前向きでパワフルなロックチューンは、
その若さの魅力が存分なまでに発揮されています。
そして、平成生まれ歌手初のオリコン1位獲得曲としても話題になったデビューシングル
「僕たちの行方」は、楽曲がとにかくドラマチック。
要所で入るキーボードやバイオリンの音色なども良いですし、
曲の展開美を存分に感じさせてくれる、これぞ1位にふさわしい大傑作といえるでしょう。
そんな曲の一方で、不安に揺れ動く心を歌った「孤独な群集」や、
別れを歌ったバラード曲「evergreen」「約束」などといった曲も良いです。
特に2ndシングル「evergreen」はなぜデビュー曲に続いて大ヒットしなかったのかが不思議なぐらいの名曲です。
さらに、アルバム曲で隠れた名曲といえるのは、9曲目の「もうひとつの夜明け」。
これは歌詞がこのアルバムの中で一番良いです。
アップテンポでポップな曲調ながらも、どこか切なさを感じる。心の葛藤を描いた歌詞と、
その不安を振り払おうとするかのように突き進んでいく、曲とボーカルの勢いが素晴らしい!

1stアルバムにして見事な作品でした。これは将来さらにすごい歌手になるんじゃないかと思いました。
今でこそ女性ロックシンガーは、バンドも含めてメジャー音楽シーンにたくさん出てきていますが
この当時は、新人女性ロック歌手といえばこの高橋瞳さんと、他には上木彩矢さんぐらいしかいなかったという、いわば谷間の時代だったので、素晴らしい歌手がついに現れてくれたと思い、
すごく期待していたのですが・・・ 最近はどうも活動が停滞気味なのが残念です。
まだまだ若いんだし、どうかここから巻き返して欲しい!



2010年10月21日木曜日

[CDレビュー]  JAM Project「Olympia ~JAM Project BEST COLLECTION IV~」



JAM Project「 Olympia ~JAM Project BEST COLLECTION IV~」
(2006/4/5) 

1. GONG 
2. 牙狼 ~SAVIOR IN THE DARK~ 
3. Olympia 
4. 限界バトル 
5. 迷宮のプリズナー
6. Battle Communication!! 
7. 未来への咆哮 
8. Protect you 
9. Fencer of GOLD 
10. Name of the Truth
11. 星空のレクイエム 
12. 熱風!疾風!サイバスター 
13. Brother in Faith
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





2006年にリリースされた、JAM projectの通算4枚目のベストアルバム。
今作もハードロックやハードポップをベースとした激しいサウンドと、力強いボーカルが印象的な作品です。


このアルバムの中で一番素晴らしい曲だと思ったのは、2曲目の「牙狼 ~SAVIOR IN THE DARK~」。
剣士の生き様を歌った曲で、サビの疾走感と激しさはこのアルバムの中でも一番。
そして、何より歌詞が素晴らしいです。素晴らし過ぎます。
ヒーロー戦隊主題歌のような「正義のために」といったような内容の歌詞が多い彼らの作品の中で
「正義だとか愛とか 俺は追いかけない」と歌うこの曲はある意味異色。まさに孤高な姿を描いた曲。
しかしその一方で、「愛にはぐれ 愛を憎み 愛を求める」
この歌詞には、とてつもなく胸を打たれました・・・
孤高の戦士も、やはり心の奥底では本当は愛を求めてるんだという、
この描写は本当に素晴らしい。そして、こんなにも感情移入できる曲は
そうそう見つからないです。泣きそうなぐらいに感動しました。
今までのリスナー人生の中でもベスト10に入るぐらいの超名曲ではないかと思いました。

そしてそれ以外の曲も、オープニングナンバーにふさわしい、
ストリングスの音と6人のボーカルのぶつかり合いと
サビ前やラストで鳴り響くゴングの音が最高にカッコいい曲「GONG」、
キーボードイントロが、文字通り今から始まるバトルを予感させ、
そして曲全体からはこのアルバムの中でトップクラスなまでの爽快感を感じる「限界バトル」
ミステリアスで浮遊感が漂う歌い出しから、ジワジワと盛り上がる展開が見事で、
曲調はポップでありながらも、全体から感じる突進力がすさまじい「迷宮のプリズナー」、
バンドサウンド+バイオリンの音が、力強くも独特の雰囲気を出している「未来への咆哮」、
これぞ正統派ハードロック、そしてイントロとラストでのシャウトも見事に決まってる
「熱風!疾風!サイバスター」などは特に素晴らしいです。
同時に、編曲にバリエーションがあるので、アルバムを全部通して聴いても全然飽きないです。
上記以外の曲でも「Battle Communication!!」のような軽快でハッピーな曲もあれば、
ラストのバラード曲「Brother in Faith」なども良いですし、とにかく1曲1曲の質の高さが半端ない。

しかし歌詞の方は、1つのアルバム内で度々フレーズがかぶりまくっています。
「立ち上がれ」「戦士」「雄々しき」とかはもはや何回出てくるんだってぐらいにかぶってるので、聴く人によっては、歌詞・楽曲の世界観がどれもこれも同じような曲ばかりと感じるかもしれません。

それでも、個人的にはこの世界観がたまらなく好きなので別に全然いいんですけどね!
もはや理屈とか抜きにして、今まででもまれなぐらいにドツボにハマったとしか言いようがない・・・


2010年10月11日月曜日

[CDレビュー]  m.o.v.e「anim.o.v.e 02」


m.o.v.e「 anim.o.v.e 02(DVD付)」
(2010/8/25) 

1. 恋しさと せつなさと 心強さと 
2. REAL LOVE ~魂に火をつけて~ feat. 飛蘭 
3. DREAMS
4. アンインストール 
5. Monster Explosion feat. 影山ヒロノブ & 遠藤正明 
6. Shangri-La
7. One Way Train feat. 鷲崎健 & 浅野真澄 
8. 残酷な天使のテーゼ 
9. JUPITER ∞ feat. 高山みなみ
10. Rage your dream feat. Lily -19’s Remix- 
11. Romancing Train feat. Lily -mintia mix- 
お気に入り度:★★★★★★★★★ (9/10)





m.o.v.eのアニソンカバーアルバムの第二弾。
しかし、カバーアルバムといってもカバー曲だけでなく、今作でも第一弾に引き続いて、
アニソンの世界で活躍するアーティストとのコラボによる完全オリジナル曲が、計4曲収録されています。
さらに今作では、ボーカロイドによる、自身のセルフカバー&リミックス曲も2曲収録されていて、
全体では、カバー曲5曲、オリジナル曲4曲、ボーカロイド曲2曲という構成です。
なので、むしろこれは「カバーアルバム」ではなく、「コラボアルバム」と言った方がいいかもしれない。
このm.o.v.eというアーティストと、アニソンの世界で活躍する数々のアーテイストの曲を
(といってもm.o.v.e自身も頭文字Dなどのアニメ主題歌を歌ってましたが)
高いレベルで融合させ、そして新たなものを作り上げた作品といえるでしょう。
なのでこの作品は、ただ話題性で売れることばかり考えてるのではと思うようなカバーアルバムではないです。
そして彼らなりにアニソンの世界に敬意を払っていることもしっかりと伝わってくる作品です。


まずカバー曲では、デジタルビートにmotsuさんのラップが入るという構成が中心なのは相変わらずですが、その中でも特に良かったのは「アンインストール」。
まぁこれは個人的に原曲が大好きだからというのもありますが、
この曲は今作の中では珍しく電子音が控えめで、その代わりにストリングスなどを取り入れた、
深みのあるアレンジが印象的。これにyuriさんの、独特の切なさ・哀愁を感じるボーカルと、
motsuさんのラップがうまく溶け込んでいて、また新たな魅力を作り出すことができた曲だと思いました。


そしてオリジナル曲ではまずは7曲目、このブログで現在絶賛中の、JAM projectの影山さん&遠藤さんと、motsuさんによる3人で歌われている曲です。
ちなみにyuriさんはちょうど産休中だったのか今回歌ってませんが、
それでもこの曲は、これぞ音楽の異種格闘技戦だといえる、さすがの曲です。
デジタルビートの中においても存分に感じることができる、3人のボーカル&ラップのぶつかりあいは迫力満点。
さらに9曲目は、高山みなみさんとのコラボ曲で、彼女がかつて組んでいたTWO-MIXを思い出させるような曲。間奏のアレンジとかも含めてそれっぽいです。
そして2曲目の飛蘭さんと、7曲目の鷲崎健さん&浅野真澄さんは、
個人的に今回初めて名前を聞いた歌手ですが、こちらのコラボ曲もさすがの曲でした。
特に7曲目は今作の中でも一番良いかもしれないです。デジタルな音色とボーカルに乗せて、
まるで、未来世界に向かって列車が走り出したかのような、そんな疾走感にあふれた曲。
m.o.v.eの曲の中では「Romancing Train」に続く、列車旅の名曲が誕生したのではないでしょうか!?


しかし、10、11曲目に入っている、ボーカロイドを使ったセルフカバー曲については、
原曲とアレンジは変えたものの、ボーカルは普通に機械に歌わせただけというような感じだったので、
もっとボーカロイドでしかできないような仕掛けみたいなのをやって欲しかったです。
「FREAKY PLANET」という曲を作ったことがある彼らにはそれができるはず! そこはちょっと惜しかったです。


それでも、1枚のアルバムの中でこれだけのことをやってくれれば、十分素晴らしいといえるでしょう。
まさに期待通りの作品だったと思います。


2010年10月8日金曜日

[CDレビュー]  CHERRYBLOSSOM「時空」


CHERRYBLOSSOM「 時空」
(2010/1/20) 

1. 桜ロック
2. STAND WAVE 
3. kissの魔法 
4. 夢のマニュアル 
5. LOVE FORCE 
6. Dear my friend
7. 星空トライアングル 
8. 告白... 
9. p.t.a. 
10. 美術の時間 
11. さよならの空 
12. ジレンマ 
13. 時空
お気に入り度:★★★★★★★★☆ (8.5/10)
(2012年11月、レビュー文を加筆修正)




CHERRYBLOSSOMの2ndフルアルバム。
この作品リリース後の2010年6月に、残念ながら解散してしまったため、
これがオリジナルアルバムでは最後の作品となりました。
このバンドの最大の売りは、やはりMAICOさんとMEEKOさんによる
パワフルな女性ツインボーカルでしょう。
声質的には2人とも似た系統で、パワーではMEEKOさんの方が
勝るかなといったとこですが、それでも2人合わさることで迫力が増すのは確か。

そして楽曲面においては、今作では1stフルアルバムと比べると、
ラップやミクスチャーの要素が減り、正統派ガールズバンドに近い作風になったと思いました。
ストレートなバンドサウンドと、若さと勢いで押しまくる
2人のボーカルが合わさった前半の曲の数々は、爽快そのもの。
聴いてる方までもが元気をもらえるような曲ばかりです。
特に「STAND WAVE」は素晴らしい! この曲を聴くと、
まるで10代の頃の青春時代の若さとパワーがよみがえってくるかのよう。
「直球勝負で 僕からのエールを 投げるよ」
「毎日地味な練習をしてる いつか自分自身のためになるんだと信じて」
という歌詞は印象的。この曲は、野球少年に恋する女の子の姿が
思い浮かんでくるかのような曲で、高校野球の地方大会中継の
エンディングテーマ曲あたりに使われたらすごく合うのではないかと思いました。
曲ラストの、「空振ったって気にしない 僕の熱い夏はずっと終わらない」
この最後のもう一押しの部分は特にツボです。
しかしその半面、ミディアムテンポの曲やバラード曲なども入りだした、
中盤以降の楽曲の出来は総じて微妙な気がしてしまいました。
バラード曲でも11、12曲目のようなバワー系は良いと思いましたが・・・

しかし、ラスト曲の「時空」は、最後の最後にして
とてつもなく素晴らしい曲を作ってくれたと思います。
この地球や宇宙で、様々なものが生まれては消え、
そしてまた新たに生まれゆく姿が描かれたかのような曲。
まさに「時空」というタイトルにふさわしい、ダイナミックで爆発力満点で
スケール感の大きな曲ですが、しかしこれは今思えば、
このCHERRYBLOSSOMというバンドがこの世界から消え、
そしてメンバーそれぞれが新たな道へと向かうという暗示だったのだろうか・・・
ただ、仮にそうだったとしてもやっぱり解散は惜しいです。
これからバンドとしてさらに成長していく姿も見てみたかったです。


2010年10月6日水曜日

[CDレビュー]  JAM Project「MAXIMIZER~Decade of Evolution~」



JAM project「 MAXIMIZER~Decade of Evolution~」
 (2010/6/9) 

1. MAXIMIZER 
2. Elements 
3. SAMURAI SOULS 
4. ReBirth of Dream 
5. 火の鳥
6. REAL BLACK HOLE ~Break through~ 
7. Shining blaze 
8. Nightmare 
9. I LOVE YOU
10. DESTINY ~from USA~ 
11. Always be with you 
12. KI・ZU・NA ~10th Anniv. ver.~
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)






2010年6月にリリースされた、JAM Projectのアルバム。
主にアニソンの世界で活躍してきた歌手の大御所たち5人によるグループですが、
今作は、収録曲の中にアニメ主題歌は入っていない「完全オリジナルアルバム」となっています。
そして今回、初めて彼らの曲を聴いてみたわけですが・・・


とにかく、曲全体から感じるパワー、突進力が半端ない。
私がかねてからこのブログで大好きだと言っていた、「ヒーローが降臨してきたかのような曲」ばかり。
実際、歌詞や曲の世界観的にも、ほぼ全曲が戦隊ヒーロー作品の主題歌として使えそうな感じの曲となってます。
そして、何よりこのアーティストは、音楽面において、
ハードロックやメタル的な要素が強く入っているのが、最大の特徴といっていいでしょう。
今作でも1、3、7、8曲目などは、そのへんの普通のロックバンド以上にハードロックしてる。
その一方で2、4、6曲目などは、J-POP、ハードホップ色の強い作品となっていますが
こちらも迫力においては全く負けていないです。
編曲や演奏の迫力もさることながら、ボーカルが5人いるということが、より一層曲のパワーを増しています。
それでいてさらに、紅一点の奥井さんのボーカルがあるのが、いいアクセントになっている。
これがあることで曲の展開にさらなる変化をつけることができ、ドラマチックさが増していると思いました。


もう本当に、1~8曲目までは、お気に入り度150点でもいいぐらいの内容で、
果たしてこの作品はどれだけの歴史的大傑作になるのかと思ってたんですが、
ただ、最後の最後にちょっと失速してしまったかな・・・
11曲目の、まるでGReeeenのようなメロディラインと歌詞の曲は私には合わなかったです。
全体的に影山さんの作詞はベタさが目立つかなと思いました。


しかし、ほとんどの曲はそれが全然気にならないぐらいの曲の破壊力。
その中でも特に素晴らしかった曲は、まずは3曲目の「SAMURAI SOULS」。
この曲はイントロからして良いですし、それに加えてBメロが良い。
それでいてサビがそのBメロをも上回るぐらい良い。それでいてさらに圧巻なのがラスト。
最後の「エンブレムは マキシマイザーーーーーーッ!!」という思いっきり高音張り上げての叫びは、すさまじ過ぎるとしか言いようがない・・・ 
感涙モノでした。何度聴いてもラストの魂の叫びで感動してしまいます。
この曲は今年聴いた全アーティストの曲の中でも一番かもしれません。それぐらい素晴らしい曲でした。


さらには5曲目の「火の鳥」では、まるで組曲のような複雑かつドラマチックな曲展開。
私はもともと、組曲や長い曲というのは苦手なことが多いのですが、
この曲はどの場面においてもメロディが良いので、長さが全然気にならないですし、
何よりこの曲は、自然破壊を繰り返す人間たちへの怒りがこめられた、歌詞や曲の世界観が素晴らしい。これぞ、大作と呼ぶにふさわしい曲でしょう。
他にも、6曲目の「REAL BLACK HOLE」では、水樹奈々さんの曲などを手がけている、
エレメンツガーデンのメンバーが編曲しており、それだけにシンセを含めたアレンジが最高ですし、「Shining blaze」ではサビのコーラスワークがあまりにも見事過ぎる、
「Nightmare」では重厚ながらもミステリアスな雰囲気を漂わせるサウンドが見事、
といったように、本当にどれも素晴らしいとしか言いようがない曲ばかりです。


2010年の私的年間No.1アルバムは、99.9%この作品に決まったといっていいでしょう。