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2010年2月23日火曜日

[CDレビュー]  天野月子「天龍」



天野月子「 天龍」
(2004/1/21)

1. 劔 
2. 鮫 
3. 恋 
4. 骨 
5. 龍 
6. 天 
7. 蝶 
8. 月 
9. 虹 
10. 轍 
11. 枳
お気に入り度:★★★★★★★★★★ (10/10)





天野月子の3rdアルバム。
まず、曲のタイトルが全部、漢字1文字。この時点で独特の世界観を感じます。
その曲タイトルや、ジャケット写真からして、和の要素を感じつつも、
曲の方は、オルタナティブロックをベースとしており、
そしてこのアルバムでは、1曲目「劔」の、イントロの時点から
ロックかつ、ブログレッシブな曲展開をみせてくれます。
そしてその1曲目とつながった2曲目「鮫」で一気に爆発、ヘヴィで荒々しく疾走する、
この2曲の時点で、一気にこのアルバムの世界へ引き込まれました。
ちなみに私はこの「龍」という曲を知ったのがきっかけでハマりました。
PVは、西洋風の時代劇(?)といえるような面白い作品で、
これまた独自のアーティスト性というものを感じさせてくれるPV作品でした。


そしてその後も、ロックをベースにしつつもさまざまなアプローチから繰り出される曲の数々は
とにかく、ドラマチックで、スケール感の大きな曲が多いです。
5曲目「龍」はそんなこのアルバムの真骨頂ともいっていい曲。
ラストにて初めて出てくる大サビ、「龍よ 舞い戻り 大地へいざない」といった歌詞、
そこでまさに、龍がこの世に降臨したかのような・・・
そしてそれに続く6曲目「天」は、ほとんどインストといっていい曲で、
その音をバックにセリフをつぶやくという曲。このバックの音というのが、
またとてつもない、展開美というものをこれでもかとみせてくれる・・・
この2曲はもう、圧倒的としか言いようがないです。
しかしその一方で、3曲目の「恋」や9曲目の「虹」といった曲では
ポップで可愛らしい一面もみせています。
さらには、8曲目の「月」、10曲目の「轍」といったバラード曲も素晴らしいです。


とにかく、全編通してのアルバムの世界観というものに、圧倒されました。
これは、まさに名前通り、彼女は月の世界からやってきた歌姫ではないかと・・・
そんなことを思ってしまうぐらいのスケール感を感じさせてくれる、そんな作品です。



(P.S)
そんな天野月子さんは現在、インディーズにて活動を再開したようですが、
つくづくなんでもっと世間的に評価されなかったのか、不思議でしょうがなかったです。
でもその理由、大ブレイクとまでいかなかった原因は、
決して実力的な問題ではなく、理由はただ一つでしょう。
たまたま、同じ時代に椎名林檎さんがプッシュされてしまったから。
実際作品を聴けば違うんですが、素人目には似てるように思われるのだろうかと・・・
個人的には、声質と、あと独特の品格の良さを感じる天野月子さんの方が好きですね。
それこそメディアや音楽雑誌などがこちらの方をよりプッシュしていれば、
もしかすると立場は逆転してたのではないかと思います。
彼女は運がなかっただけです。つくつぐ、世間的にブレイクするかしないかなんて時の運次第だ・・・


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